インプラントを受けられないケース

インプラントは幅広い年齢層でできる治療法として知られています。
しかし、場合によってはインプラント治療を受けられないケースもあります。
以下のような方はインプラントを受けられない可能性がございますが、あきらめずに、まずご相談ください。

重度の糖尿病

糖尿病が進行すると抵抗力や免疫力が低下し、歯周病を引き起こしやすくなります。
また、インプラント埋入後に骨とインプラントが接合しないで失敗に終わるケースもあります。
しかし、全ての糖尿病患者様にインプラント治療が禁忌ということではありません。
血糖値のコントロールがうまくできていれば、インプラント治療も十分可能になります。

そのため、インシュリン注射や血糖降下剤を服用されている方はインプラント治療相談の段階で必ず担当歯科医師に申告されることが必要です。
そして、インプラント治療後に腫れがあるのか?食事制限があるのか?等の検討をし、もし、そうしたことが考えられれば、事前に内科担当医師との打ち合わせが必要になる場合もあります。

高血圧症をはじめとする循環器系疾患

血圧が非常に高い場合、インプラント治療は難しい場合があります。
ただし、血圧が高くても内科で治療を受けていて血圧の症状がきちんとコントロールされており、麻酔が出来る状態であればインプラント治療は受けられる場合があります。

腎臓病

腎臓病には軽いものから重いものまであり、その原因も治療法(食事制限や薬の服用、透析、移植等)もさまざまです。
そのため、腎臓病の方は全てインプラント治療ができないということではありません。
ただし、腎臓病の方は免疫力が低下しているため傷が治りにくく、骨との結合も難しくなります。

また、治療の際に服用する抗生剤や鎮痛薬等の使用制限もあります。
人工透析を受けている方では、血液の循環をよくする薬を服用するため、外科的処置をした時に止血しない場合があります。
そのため、人工透析を受けられている方はインプラント治療の際には注意が必要です。
病状にもよりますが、基本的に腎臓病の方はすぐインプラント治療が可能ということにはなりません。
担当医師との連携により相談しながら可能かどうか判断していきます。
インプラント治療をご希望の場合には必ず担当歯科医師に伝える必要性がある疾患です。

心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中を起こしてから6ヶ月以内

心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中を起こしてから6ヶ月以内は基本的にインプラント治療は禁忌です。
また、6ヶ月以上経過していても全く問題がないわけではありません。その場合は医科の主治医と連携し、状況に応じて相談しながら進めていきます。
そのため、病気を起こした時期と現在の状況を担当歯科医師に必ず伝えてください。

放射線治療後

ガン(癌)の治療で現在放射線治療を行っている方は基本的にインプラント治療ができません。
特に顎骨に放射線を受けている場合には外科処置は禁忌です。
また、麻酔を行うことも危険です。
歯科麻酔により骨髄炎を起こす可能性があります。

そのため、インプラント以外の通常の歯科治療においても注意が必要です。
特に口腔領域の悪性腫瘍に対する放射線治療後は口腔内の炎症が起ったり、骨髄炎を併発していることが認められます。
また、放射線治療後には唾液の分泌量の減少が認められることがあります。
唾液の分泌が少なくなると、虫歯や歯周病が起る確立が高くなります。

そのため、放射線治療後には口腔内の管理をきちんとしておかないと虫歯や歯周病になった場合でも治療が難しいことがあるため、注意が必要です。

ただし、放射線治療後に一定の期間が経っている場合には医科担当医(放射線科医)との相談によってインプラント治療が行える場合もあります。
放射線治療後にインプラント治療をご希望の場合にはまず、担当歯科医師に今までの治療経過の詳細を伝えて下さい。

血友病等の血液疾患

ご自身が血友病等の血液疾患であることが分かっている方は外科処置が禁忌であることをご理解していらっしゃるかと思いますが、そうした既往がなくても普段ケガをした時に血が止まりにくいことを経験された場合には一度 血液検査をされることが大切です。
また、インプラント治療を受ける際にもそうしたことを自覚されている場合には担当歯科医師に必ず伝えて下さい。

麻酔アレルギーおよび薬物アレルギー

麻酔アレルギーについて

インプラント治療の際に既往歴や全身状態について問診を行います。
その際に『歯科治療で麻酔を行った時は必ず胸がドキドキします。これは麻酔アレルギーですか?』という話があります。
これはほとんどの場合麻酔アレルギーではなく、麻酔を行ったことによる緊張から起ったものですので心配されないで下さい。

何度か歯科治療において麻酔をされた経験がある方は基本的に問題はないと思われます。
治療を行う私達歯科医師サイドも口腔内を診て、治療後(治療経験)がある場合にはおそらく心配はないだろうと判断します。

薬アレルギーについて

インプラント治療の際に既往歴や全身状態について問診を行います。
その際に『歯科治療で麻酔を行った時は必ず胸がドキドキします。これは麻酔アレルギーですか?』という話があります。
これはほとんどの場合麻酔アレルギーではなく、麻酔を行ったことによる緊張から起ったものですので心配されないで下さい。

何度か歯科治療において麻酔をされた経験がある方は基本的に問題はないと思われます。
治療を行う私達歯科医師サイドも口腔内を診て、治療後(治療経験)がある場合にはおそらく心配はないだろうと判断します。

骨粗鬆症 (こつそしょうしょう)

結論から言いますと、絶対的な禁忌ではありません。
その理由として、骨粗鬆症の方にインプラント治療を行い、その経過を観察した研究においては特に問題はないという論文が多数あります。

しかし、骨粗鬆症の程度にもよりますので、主治医との綿密な連携が必要となります。
骨粗鬆症であってもインプラント治療はあきらめることはなく、きちんと検査を行い、その結果次第では十分可能です。

しかしながら、絶対的禁忌な場合もあります。
それは、骨粗鬆症の治療として『ビスフォスフォネート剤』を使用している方です。
ビスフォスフォネート剤は、骨の代謝が止まってしまい骨が溶けるのを防ぐ反面、骨の治癒も起きませんのでインプラント治療は禁忌になります。

そのため、通院や薬を服用している等があれば、担当医との連携をとり、十分診査する必要性がありますので、担当歯科医師まで必ずご連絡下さい。

『歯ぎしり』や『くいしばり』が強い方

『歯ぎしり』や『くいしばり』は非常に危険です。
インプラントは天然歯と違う構造があります。
天然歯は噛んだり、歯ぎしりをすると若干ですが動きます。もし、歯に強い力が加わっても天然歯は動くことにより、力を分散したり、受けた力を弱める働きがあります。

しかしインプラントは骨に完全に結合しているため動きません。
その為、インプラントは噛む力をそのまま受けてしまうので、『歯ぎしり』や『くいしばり』がある方はインプラントに過大な力が及ぶ可能性があります。
そこでこの『歯ぎしり』や『くいしばり』からインプラントを保護するために『ナイトガード』と言われるものを使って戴きます。簡単に言えば、『マウスピース』のような装置で、基本的に就寝時に使用します。

歯周病の治療をしない方(歯磨きをきちんとしない方)

インプラントは人工的なものですが、天然歯と同様に歯周病に罹患することがあります。
これを『インプラント周囲炎』と言います。
初期の段階ではインプラント周囲の歯肉が腫れ、その後インプラントを支えている歯槽骨を吸収してしまいます。

最終的にはインプラントはダメになり、撤去することもあります。そのため、インプラント治療を行う際には必ず歯周病の検査・治療を行います。
歯周病の治療を行わなかったり、歯ブラシを行わない方にはインプラント治療をすることは出来ません。